風景画を描く場合は、まずその風景が気に入った場所でなければなりませ
ん。
そして、その風景のどこが最も気に入った場所かを考えるのです。ある人
は、その先にある山とその下を流れる川かも知れませんし、また、ある人
は、見える景色全体の大きさ、広がりかも知れません。
要するに、同じ風景をみても、人それぞれが違った感じ方、描きたいと感じ
る場所が違うものと思います。
私は、いつも散歩や風景を眺める時は、この景色を描くとしたら、どこを見
せ場にし、必要な役はどれとどれか、などと頭に描いて観ています。
そして、実際に描く場合は、次のようにしています。
1.絵にしたいと感動した場所(主役・見せ場)が、画面上、黄金律の場所
(4か所ある)に来るような絵を考える。道路は、距離感を出すためS字型
にする。
2.絵が出来上がった時、その黄金律(見せ場)に目が来るように、画面の
四隅と線で結んで、見せ場を引き立てるように脇役を配置する。
3.中景の見せ場の最も明るい場所から塗り(最後まで白く残すならなら、
塗らないでおく)そこが明るく目立つようにする。塗る場合は、色を出来る
限り、混ぜないで塗る。
4.全体を眺めて、明るい場所から塗って行く。
5.遠景は、薄暗く寒色のブルー系に、中景は、はっきりと、近景は、濃
く、大胆、大きく描く。
6.全体が纏まる様に調整する。絵が寂しい場合、または山や木の大きさが
分かるようにしたい時は、添景人物を入れる。
7.光は、午前と午後からでは反対方向になるので、構図を描いたときに見
せ場の面積が多い方(反対にすると、絵が暗くなります)を明るくするよう
に画紙の右上か、左上に光の来る方向の矢印を書いておくと良いと思いま
す。画面の中の光の方向は、すべて同じでなければならないのですから。
上高地
白馬三山遠望