8.静物の描き方

ここからは、いわば各論です。静物、風景、人物について、私

がこれまでに得た内容、感じた点をご披露しましょう。

絵は、むやみやたらに、ただ描けば、どこかで何かが捕まえられるという考

え方もあるとは思いますが、私は、主役のどこに感動し、どう描けばよい

か、ということを納得してから描くという考え方が、より短時間で目的にた

どり着けると思っています。

静物とは、広辞苑によれば、静止して動かないもの、自ら動く力のないも

の、また静物画の対象となるものとあります。一般に静物画とは、人物画

や、風景画などに対し、花、果実、器物どを題材として描いた絵画と言われ

ています。

静物も、まずは構図の描き方です。私は、水彩画は、構図が60%、色調が

30%、物語などが10%だと考えています。

構図の基本はまず主役(または感動して描こうと思ったもの、風景や、人

物なら見せ場とも言います。)を、例の黄金律の4か所のいずれかの場所

に、まず据えるのです。そして、主役が引き立つように脇役を両側に配置す

るのですが、この配置は、斜め上から見たとき主役と脇役が不等辺三角形に

なるように配置するのです。

お人形など頭のあるものは水平に置き、それ以外の静物のモチーフは制作者

が椅子に掛けた時、膝の高さのテーブルに並べるのですが、これは対象物の

全体が見えるように斜め上から見た状態を描くのです。

モチーフの配置方法

絵は、平らな紙に立体的に表現する(平面画法)のですから、遠近法を活用

し、小さな紙一杯に大きく表現するのが良いと思います。

画面一杯山型になるように描く

果物や、野菜ならなるべく籠の中に沢山入っているように真ん中が山型に、

しかも明るい色(白、黄色、オレンジ、赤)が手前にあり、奥には暗い、寒

色(ブルー系)のものを入れるようにします。

手前に明るいモチーフを配置する

頭のある人形などは目線と平行にモチーフを置き少し側面から奥行きが分か

るように描く。

静物の基本形は、球、円柱、箱の三種に分けられますが、とかく誤り易いの

は、人工物の箱型を描く場合です。

箱を見るとき、奥に向かってすぼまっていく形なのです。小さな箱は、これ

ほど極端には見えないとは思いますが、ビルなどを描くときは、この法則を

無視することは出来ません。

間違い易い箱型の描き方です。

また、バックを付けて描くバックや影がないと標本図や、いわゆる植物画

になってしまいます。

* バックは、主役を引き立たせるために描くのですが、補色(二つの色を

適当な割合で混合する場合の、一方の色を他の色に対していう語で、一般的

には反対色をいう。)を使うか、主役や脇役に使った色を混ぜたものにする

かによって、前者は画面がポスターのように際立ったものになりますが、後

者は画面が穏やかになります。

バックを補色にしたもの

バックを主役か脇役の色を混入して仕上げたもの

物体の陰影(かげ、いんえい)には、陰と影の二つのかげがあるので、良く

注意して表現します。

影(シャドー)は、物体や人により光を遮る部分で、陰(シェード)は、光が当

たらないで隠れて見えない部分。全体的に暗い部分の日陰。

9.風景画の描き方

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