10.人物画の描き方

人物画は、静物画や風景画に比べ、一番難しいとされているようです。

ある美術大学では、教室での実技授業としては人物画が中心のところがある

そうです。それは、人物画が一番難しいからなのでしょう。

ピカソが師と言える画家は、セザンヌ一人であったという。そのセザンヌが

芸術の頂点は「人物画」だと言っていた由です。

では、なぜ難しいと言われるのでしょうか?

私の経験では、①すべての人は、それぞれ違った特徴を持ち、②表情は常に

流動的であり、③人体は、不自然に描くと、観る人にすぐ指摘されます。④

その人のいる場所によって見る人の心を動かせます。

静物画は動かないし、風景画は感動した主役以外は、適宜配置換えが出来ま

す。しかし、人物は、表情を含めて動きますし、人体のパーツを変更するこ

とが出来ません。

この難しい人物も順を追って理解しながら練習すれば、それなりの人物画が

描けるようになると思います。

私も、多くの参考書、多くの諸先生、名画から人物画の描き方を学びました

ので、これらを纏めてみました。

先ず、全身です。

この図は、8頭身の理想的な体形を基にしていますが、仮に6頭身であって

も基本的には人体二分の一で構成されているようです。ただ、画家によって

は、女性は9頭身の方が美しく描けると言われる方もいます。

次に来るのは、かと思いますので、顔の正面と横面を掲載します。

肖像画や記録画は、正面からのものが多いと思いますが、通常の絵として描

く場合は、左右30度位斜めからの方が、頭全体と、生きている動作や表情

までも表現し易いかと思います。

次は、手と足ですが、手と足の位置、大きさなどを見れば人物画全体の良し

悪しが容易に分かります。

参考までに、三巨匠の人物画の手と足を見てみましょう。

宮本三郎先生の「出を待つ」(出典:NHK趣味講座絵画入門)ですが、

体全体の中の頭手と足の大きさをご覧ください。

こちらは、小磯良平先生の東京芸大の卒業制作で友人をモデルにした

「彼の休息」(98点の最高点だったそうです。出典:アサヒグラフ別冊美

術特集)ですが、こちらも体全体の中の手と足の大きさにご注目ください。

手が画面の一番手前にあるので少し大きめになっています。

ピカソの「母と子」です。手と足の大きさをご覧ください。

以上を頭に入れて、クロッキー、デッサンの実技を行えば、最短で人体が描けるようになると思います。(100枚位は描いたらと思います。)

クロッキーは、デッサンの一分野ですが、早描きで10分、5分、2分、1分

と、だんだん早く描きます。慣れないうちは、これらの倍の時間をかけても

良いと思います。なぜ、クロッキーの練習をするかといえば、毎日みている

人体でも、描いてみると気付かなかった部分や、いきいきした人体を表現す

るに必要な骨格、筋肉や、画面の空間の表現方法が身に付いてくるからで

す。

 

 私が描いた人物画です。

デッサンは、時間をかけ、モチーフを良くみて、明暗、量感の表現力、それ

ぞれのパーツを正確な比率でとらえる能力を養う訓練です。

最初は、円柱や立方体で出来た石膏から始めますが、すべて面で捉えること

が重要です。

人体の比率が綿密に計算されたいわば理想的な石膏像となっています。

石膏像は、すべて真っ白ですので、明暗や、立体感の描き方を身に付けるた

めの良い勉強になります。

私が人物・デッサンの教科書として勉強させていただいている指南書です。

1.人体のデッサン技法・・・・・・・・・・ジャック・ハム著

2.やさしい人物画・・・・・・・・・・・・・A・ルーミス著

3.やさしい顔と手の描き方・・・・・・・・・A・ルーミス著

5.やさしい裸婦の描き方・・・・・・            J・シェパード著

6.人物クロッキーの基本・・・・・・・・・・ホビージャパン

7.ポーズと構図の法則・・・・・・・・YAMAMI/佐藤竜太郎著

8.アニメーターが教えるキャラ描画の基本法則・・・・toshi著

9.○X式で解説(誰でも簡単に)パースがわかる本・誠文堂新光社

10.人物画テクニック・・・・・・・・・・・・・・池田清明著

11.絵が上手くなる基本デッサン力がつく・・・・佐久間公憲著

12.絵はすぐに上手くならない(デッサントレーニングの思考法)

                                 ・・・・・・・・・・・   成冨ミヲリ著

13.松沢茂雄画集・・・・・・・・・・・・・・・・松沢茂雄著

私が過去に模写したり、構図の分析をしたりして、大変お世話

になったと共に、今も作品の素晴らしさに魅了され続けている

世界の巨匠(敬称略)が制作した人物画の一部をご紹介しま

す。

写真は、私が蔵書している巨匠の画集、全集などからデジカメで撮影したた

め、多少色彩が違っている場合があるかも知れませんが、私が勉強のために

撮ったものと、ご理解ご容赦お願い申し上げます。

なお、作品が掲載されていた出典名、作品名も記載しましたので申し添えま

す。

Picasso ピカソ天才の誕生・初聖体拝領     14歳の作品

ピカソ・夢

ジャン・フランソア・ミレー ・落ち穂ひろい

Renoir・ピアノに寄り添って

ゴッホ・没後120年ゴッホ展・灰色のフエルト帽の自画像

王子武・栄寶斎画譜・斎白石

陳逸飛・名笛手

マネ・世界の美術・笛を吹く少年

ダビンチ・自画像

上村松園・別冊三彩・序の舞

上村松園・別冊三彩・娘深雪

松沢茂雄・画集・風B

小磯良平・アサヒグラフ別冊美術特集・裁縫する女

片岡球子・昭和の日本画100選」展・面構 葛飾北斎

小倉遊亀・「昭和の日本画100選」展・浴女その一

鏑木清方・「昭和の日本画100選」展・築地明石町

中山忠彦・永遠の女神展・壁かけのある部屋

11 .水彩画のまとめ

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