11.水彩画の留意点 (まとめ)
水彩画を描くとき、常に頭に入れておくまとめです。
1.絵画五原則は、①精神性(何をどう表現するか)、②独自性(物まねで
ないもの)、③空間 性(物の間の関係が分かり、空気を感じる)に加え、
④全体の構図、色彩がバランスよく纏まっており、⑤作品に物語がみられる
ものにする。
2.絵の具は、透明水彩絵の具のほか、白、黄色、赤、ジョンブリアン1(明
るい方)の不透明水彩絵の具を用意。紙は300G(1㎡が300g)のものな
ら水張りしないで良いことを知っているか。筆は、少なくとも面相筆、12
号、平筆14号。鉛筆は、H、2B、または3Bで、芯をを長くして使用す
る。
3.立体感を出すための遠近法、一点または二点透視遠近法(構図)と、空
気遠近法(色彩)の二つが響きあうように纏める。
4.補色とは、反対色で、例えば黄色と紫、赤と青緑などをいい、それぞれ
の色の隣同士の色は類似色という。
5.背景の描き方は、モチーフの固有色の補色にするか(くっきりする)、
モチーフの類似色にする(穏やかな絵になる)か、を決めてから描くように
する。
6.一般に絵の見せ場(主役のポイントを描く場所:黄金律38:62%)
は、四箇所あると言われているが、それらは画面を十文字に仕切り、その真
ん中より少し左上、右上、左下、右下の四か所である。また、光と影が矛盾
しないようにし、絵は色で見せるものだということに留意する。
7.絵は大別すると静物、風景、人物に分けられ、描き方は次のとおりであ
る。
静物:物の配置、前側、中、後側の色彩(前から順次暗く)に注意する。
花より葉をしっかりと、花と葉、対 花瓶は、4対6位の気持ちで描く。中
が見える花瓶は、水の上の茎と水の中の茎は色が異なり、花瓶の底の厚さが
分かるように描く。静物は、主役を決め、物体の質が分かるように描く。
風景:近景、中景、遠景が、目線を中心にして主役(一般には中景)が分か
るように纏める。
(6.を参照)主役の位置関係から、必要に応じて遠景、近景は、実景から
動かして描いても良い。
人物:9頭身が一番美しいという画家もいますが、一般には8頭身が理想的
なプロポーション。頭の大きさを基準に全体の大きさを纏める。すべてのパ
ーツは二分の一の原則で成り立っていることを考えながら描く。(例えば、
頭の半分の位置に目があるなど)描くときは、全体を4等分してから描く。
女性の顔は、美しく、皺は省略し、少し若く仕上げる。
8.絵は、虚構であり、絵空ごとであるので、良い処採りをする。
従って、絵は実景の感動した部分を主役にし、物語が感じられるように脇役
を適宜配置し、いつまでも見飽きない、快いものに仕上げる(3M離れて観
る)。
9.完成した絵は、額縁に入れ、3ヶ月間見ても見飽きなかったら、それが
あなたにとっての現在の実力で完成した絵(自分が心から納得す絵は、100
枚描いて4枚程度)なので、サイン(鉛筆でも良いし、裏に場所、日時、感
動等とともに描いても良い)を入れ、色止め(定着液)をかけて保存する。
10.額縁の選び方
額縁とマットは、ご自分の好きな形、色を選ぶのが良いのですが、公募展や
グループ展などに何回も使用されるのでしたら、油彩画は原則、金色の額と
し、水彩画は銀色でオフホワイトのマットをお勧めしています。人にあげた
りするときは、絵が引き立つ額を選んでいます。
11.額装のマットに貼り付けるためのテープ
テープは、剝れにくく、剥がすときは簡単に、しかも糊の跡が残らないテー
プとして「HCLパーマセルテープ(白)」を使っています。
以上の内容を徹底して教室で訓練したところ、描き方が解かってきますと、
だんだん楽しく、積極的になり、ある生徒は毎回F10を2枚自宅で描いて来
るなど、大いに活気が出ました。その結果、グループ展では物足りなくな
り、公募展に応募して入選、会員推挙、受賞する人が続出しましたので、私
の考え方は正しかったものと思っています。
(この教室は、スケッチに出向いた折に私の絵の描き方をみて、教室を作る
ので教えて欲しいとの要請を受けて、毎回4時間、月二回、7年間ボランテ
アで行ったものです。)